日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギガントプテリス類」の意味・わかりやすい解説
ギガントプテリス類
ぎがんとぷてりするい
gigantopterids
古生代末期の主としてペルム紀(二畳紀)にカタイシア植物群中に生じた裸子植物の絶滅群。羽状複葉から単葉までさまざまな段階の葉がみられるが、裂片の葉身が大きく、葉脈は単純に二叉(にさ)分枝するものから、羽状に分枝するもの、それらが互いに癒合して網状脈を形成するものまでみられる。一般に単葉化が進むにつれて網状脈が発達する。代表的なものはエンプレクトプテリス系列で、3回羽状複葉のエンプレクトプテリスEmplectopterisから2回羽状複葉のギガントノクレアGigantonoclea、1回羽状複葉のバイコエンプレクトプテリスBicoemplectopteris、単葉のトリコエンプレクトプテリスTricoemplectopterisへと、順次隣接する小羽片が癒合し、羽状複葉の分枝が減じ、単葉へと移行したことが示されている。
生殖器官の詳細は不明であるが、雌の生殖葉とされる中国産ペルム紀のギガントノミアGigantonomiaは、長さ13センチメートルほどの細長い単葉の縁に沿って一列に、長さ2.5ミリメートルほどの種子を外向きにつける。雄の生殖葉とされるギガントテカGigantothecaも似たような葉の裏側に多数の単体子嚢(しのう)群を生ずる。ギガントプテリスGigantopterisは、中国大陸を中心に分布したカタイシア植物群を代表する植物であるが、テキサス州など北アメリカからも報告されている。しかし、これはカタイシアのものとは別系統であると考えられており、たとえばギガントプテリディウムGigantopteridiumなどの別名が与えられている。
[浅間一男・西田治文]
『西田誠編、進化生物学研究所・東京農業大学農業資料室共同企画『進化生研ライブラリー4 裸子植物のあゆみ――ゴンドワナの記憶をひもとく』(1999・信山社)』