改訂新版 世界大百科事典 「ギニア地域」の意味・わかりやすい解説
ギニア[地域]
Guinea
アフリカ大陸の西岸,今のセネガル共和国からアンゴラ共和国までの大西洋岸に,西ヨーロッパ人がつけた地域名称。すなわちギニア湾岸より,はるかに広い地域を指す。英仏の航海者が13~14世紀にこの海岸を航海したという説があり,8世紀ごろニジェール川上流に栄えたギネアGhinea(ゲンニGenni,ジェンネDjennéともいわれた),あるいはその後に栄えたガーナ王国の名から,転訛してギニアの呼称が広まったといわれる。
ヨーロッパの地図に最初にギニアの地名があらわれたのは1350年頃であり,西アフリカ産の金でイギリスが最初に金貨を鋳造したのも14世紀のことで,後にそれは〈ギニー金貨〉と呼ばれた。ポルトガルの航海者はその金を求めて1434年にボジャドール岬を越え,ギニア海岸に達した。その後オランダ,イギリス,フランス,デンマークなどの航海者が進出するに至って,このあまりにも長くて漠然としたギニアに,胡椒海岸(リベリア),象牙海岸(コートジボアール),黄金海岸(ガーナ),奴隷海岸(トーゴ,ベニン,ナイジェリア)などの名称をつけて区分した。植民地分割後,ポルトガル領,フランス領,スペイン領にギニアの名が残り,現在でもギニア・ビサウ共和国,ギニア共和国,赤道ギニア共和国,ギニア湾にその名をとどめている。
執筆者:西野 照太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報