クアラルンプル(その他表記)Kuala Lumpur

翻訳|Kuala Lumpur

改訂新版 世界大百科事典 「クアラルンプル」の意味・わかりやすい解説

クアラ・ルンプル
Kuala Lumpur

マレーシアの首都。マレー半島中西部,海岸より約30kmの内陸にある。1974年に連邦直轄地となるまでスランゴール州州都でもあった(現在は西郊のシャー・アラムShah Alamが州都)。市域面積243km2。人口130万6000(2000)のほぼ半数華人で,とくに広東系が多い。周辺諸都市をあわせて国内最大の都市圏を形成する。近年マレー人の流入が増えている。

 スズ鉱山開発の拠点として,1850年代に中国からの移民がクラン川とゴンバク川の合流点に集落をつくったのが町の起りで,クアラ・ルンプルとは〈泥川の交わる所〉の意である。80年にイギリスの植民地行政官が着任して以来,ゴム栽培の発展,鉄道の開通が直接の契機となり,政治・経済・文化の中心として栄えてきた。半島の南北縦断路,東西横断路が交差する交通の要衝に当たる。市街地の景観は多様な移入文化と住民の所得格差を反映して,アラブ風建築の古いモスクや役所,中国風の商店街や寺院ヒンドゥー教寺院,欧米式の中心業務地区,そして緑豊かな高級住宅地とトタン屋根スラムなどが並存し,マレーシアの歴史を凝縮した様相を呈する。大都市圏の貧しい土地不法占拠者は推定20万人に達し,その居住地再配分が都市計画上の最大の課題である。南西に隣接する工業都市ペタリン・ジャヤPetaling Jayaは,初め首都の住宅問題解決のため立案された町であるが,低所得者を収容できず,イギリス型のニュータウンになった。この形式の町はさらに西郊へのび,新州都シャー・アラム(人口31万4000,2000)はペタリン・ジャヤ(人口43万3000,2000)をしのぐ工業都市になろうとしている。クアラ・ルンプル大都市圏の拡大は,諸機能の首都旧市域からの分散に呼応している。高等教育機関では,マラヤ大学工科大学を市内に残し,国民大学,農科大学を郊外へ移転させた。中央官庁も旧市街地西側の丘陵上へ移りつつある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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