改訂新版 世界大百科事典 「クズウコン」の意味・わかりやすい解説
クズウコン
arrowroot
west indian arrowroot
Maranta arundinacea L.
熱帯アメリカ原産のカンナに似たクズウコン科の多年草。肥大した地下茎からアロールートデンプンと呼ぶ良質の食用デンプンが採れるため熱帯域で栽植される。
高さ60~180cm,地下に多肉質で円柱状倒卵形の地下茎を生じる。葉は2列に互生し,葉鞘(ようしよう)部は茎を抱き,カンナに似た大型で,卵形あるいは楕円形の葉身を出す。葉中から花茎を出し,まばらに分枝し,その先端部に数個ずつの白色の花をつける。萼片は3枚,花弁は合着して筒状をなし,花弁状になった2本のおしべと,1本のめしべを有する。
地下茎は,そのまま煮たり焼いて食用にされるが,苦味のある品種がある。デンプンは,含有量の少ない地下茎の端部を切りすてたうえでつきくだき,袋に入れて,かすをこしとり,沈殿させて採取する。デンプン含量は20~30%である。アロールートデンプンは白色,無臭で良質であって,ビスケットやケーキなど,特に幼児食によいとされる。また,タピオカデンプン,ジャガイモデンプンなどと混ぜて使用される。デンプンを採取した残りかすは,牛などの飼料にされる。クズウコン以外にもショクヨウカンナ,ウコン類,タシロイモなど単子葉植物の地下茎から採取されるデンプンをアロールートデンプンと総称し,そのような植物をアロールートと称することもある。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報