クラインガルテン(読み)くらいんがるてん(その他表記)Kleingarten ドイツ語

デジタル大辞泉 「クラインガルテン」の意味・読み・例文・類語

クラインガルテン(〈ドイツ〉Kleingarten)

《「小さな庭」の意》ドイツを初めとするヨーロッパで盛んな市民農園形態の一。比較的広い区画長期間にわたって賃貸するもの。ラウベと呼ばれる小屋を備える。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クラインガルテン」の意味・わかりやすい解説

クラインガルテン
くらいんがるてん
Kleingarten ドイツ語

賃貸型市民農園の一形態。ドイツ語で「小さな庭」を意味する。ドイツでは、住宅地や線路脇、郊外空き地などが平均300平方メートルほどに区画されて希望者に貸し出され、野菜や花を育てたり、芝生樹木を植えたりして自然に触れる場所として利用することが定着している。農園にはラウベLaubeとよばれる簡易な小屋を建て、農具や収穫物の収納、休憩に用いるのが一般的である。もともとこのような貸し農園は、19世紀にドイツのライプツィヒで失業対策事業や都市化に伴う生活環境の悪化に対する手段として、子供の遊び場や緑地を提供することから始まった。その後、この貸し農園の設置を国で制度化したクラインガルテン法が1919年に制定され、ドイツ全土で整備が進んだという歴史がある。

 日本では、1990年(平成2)の市民農園整備促進法制定や2005年(平成17)の特定農地貸付法改正などにより、都市圏における日帰り農園や、郊外や地方で休閑地を利用した宿泊型農園が積極的に整備されるようになった。これらの貸し農園がクラインガルテンという名称でよばれ、人気を得ている。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クラインガルテン」の意味・わかりやすい解説

クラインガルテン
kleingärten

19世紀にドイツで開設された集団型・賃貸型の市民農園。「小さな庭」の意。ドイツ人のシュレーバー医師が,都市化に伴う劣悪な環境下に置かれた労働者や子供たちのために自然と触れ合う必要性を提唱したことから広まり,シュレーバーガルテン Schreber gärtenとも呼ばれる。住民はクラインガルテン協会に登録して 300m2程度の区画を借りる。花壇や芝生の庭としても利用される。畑とともに小屋(ラウベ)が設置され,区画以外にはクラブハウスや一般に開放された公園・緑地広場があり,そのすべてを利用者が管理・運営する。ドイツ以外のヨーロッパ各地にある市民農園はアロットメントガーデン allotment gardenと呼ばれ,イギリス発祥といわれる。日本では 1920~30年代にかけて誕生。近年は都市生活者のレクリエーション,高齢者のリハビリテーション,児童の食育や農作業体験学習などのために,農地の保全や公園の活用を兼ねて自治体が区画貸しを行なうケースが多い。1990年には市民農園整備促進法(平成2年法律272号)が制定された。

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知恵蔵mini 「クラインガルテン」の解説

クラインガルテン

簡易宿泊施設(ラウベと呼ばれる)のある滞在型市民農園のこと。子供の自然教育の場、あるいはセカンドハウス的な楽しみの場として、また都市部の緑地保全、老後の生き甲斐創出などに役立っており、ドイツを中心としてオランダチェコオーストリアスウェーデンなど主にヨーロッパ各国に広まっている。ドイツで19世紀初頭に実施された失業救済事業の貸し農園が原型とされ、現代の形式のクラインガルテンは、ドイツ・ライプチヒ市の医師だったシュレーバー博士が発案したもの。1864年に弟子のハウシルドがこの思想を受け継ぎシュレーバーガルテン協会を設立した。以降、ドイツ各地に広まったため、クラインガルテンはシュレーバーガルテンとの愛称でも呼ばれている。日本では1990年代初めから全国各地に誕生しており、2014年5月現在、70カ所ほどあると見られる。

(2014-5-26)

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