ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレメンス12世」の意味・わかりやすい解説
クレメンス12世
クレメンスじゅうにせい
Clemens XII
[没]1740.2.6. ローマ
フィレンツェ出身の第246代教皇(在位 1730~40)。本名 Lorenzo Corsini。有力貴族コルシニ家の出身。1691年に教皇大使としてウィーンに赴任,1706年に助祭枢機卿(→カーディナル)となり,1730年7月に教皇に登位した。病弱で,1732年には全盲となった。教皇の権威の低下をくい止める方法を模索したが,成果はあげられなかった。ガリア主義のスペインにおける流布に抗し,教皇クレメンス11世(在位 1700~21)の教皇勅書(1713)を受け継ぎジャンセニズムを抑圧した。フランシスコ修道会宣教師のエチオピアへの派遣など,伝道活動を支援し,トマス・キリスト教徒と,孔子や先祖を崇拝する中国の儀式には禁止の立場を貫いた。1738年4月,教皇勅書の中で,フリーメーソンを異教・違法とみなして排斥した。ローマにあるトレビの噴水はクレメンス12世の建設によるものである。
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