日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロヒカゲ」の意味・わかりやすい解説
クロヒカゲ
くろひかげ / 黒日陰蝶
[学] Lethe diana
昆虫綱鱗翅(りんし)目ジャノメチョウ科に属するチョウ。北海道から九州にかけて分布、種子島(たねがしま)、屋久島(やくしま)およびそれ以南の南西諸島には産しない。外国では朝鮮半島、中国に産し、東アジアの特産種。伊豆諸島御蔵島(みくらじま)に産するものは小形で、はねの形や斑紋(はんもん)に他地区産とは顕著な差異があり、これは別種ミクラクロヒカゲとされることもある。はねの開張は50~60ミリメートル程度。はねは黒褐色、雌は前ばねに淡い白帯を現す。近似種ナミヒカゲ(ヒカゲチョウ)、クロヒカゲモドキとは主として裏面の斑紋で区別される。林地のチョウで草原には発生しない。年数回の発生。幼虫の食草は各種のタケ・ササ類。越冬態は幼虫。
近縁種のクロヒカゲモドキは、本州、四国、九州に分布、その産地はクロヒカゲよりはるかに局部的である。年1回の発生(7~9月)。成虫は樹液にくる。幼虫の食草はイネ科およびカヤツリグサ科である。
[白水 隆]