ヒカゲチョウ(読み)ひかげちょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒカゲチョウ」の意味・わかりやすい解説

ヒカゲチョウ
Lethe sicelis

鱗翅目ジャノメチョウ科。前翅長 30mm内外。翅表は暗灰褐色,裏面黄褐色。後翅裏面には6個の眼状紋があり,その内側に汚白色帯がある。前翅裏面には先端近くに1個の眼状紋があり,中央に斜白色帯があり,さらに内側の中室内に暗条が1本ある。雌は雄より翅の丸みが強く,前翅裏面の斜白色帯がより明瞭である。また雄は後翅表中室基部と末端部に暗色の長毛束をもち,これが性標となっている。幼虫タケササ類の葉を食べ,成虫は年2回出現する。本州,四国,九州に分布する。近縁クロヒカゲ L. dianaは本種によく似るためしばしば混同されることがあるが,翅の地色がはるかに黒色みが強く,前翅裏面中室内の暗条が2本あることなどで区別される。北海道,本州,四国,九州に産し,サハリン,朝鮮,中国,台湾に分布する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒカゲチョウ」の意味・わかりやすい解説

ヒカゲチョウ
ひかげちょう / 日隠蝶
[学] Lethe sicelis

昆虫綱鱗翅(りんし)目ジャノメチョウ科に属するチョウ。ナミヒカゲともいう。現在の知見では本州、四国、九州のみに分布する日本の特産種。東京付近(関東平地)や京阪神地方の平地から低山地には普通であるが(これら地域ではクロヒカゲは産しないか、あるいは少ない)、全国的にみればクロヒカゲよりその分布域は狭い。はねの開張50~60ミリメートル程度。はねの表は茶褐色、後ろばねの亜外縁に裏面の眼状紋が透視されるほか、目だつ斑紋(はんもん)はないが、裏面では亜外縁の眼状紋や条紋が目だつ。年2回の発生、第1化は5、6月から、第2化は8月から発生する。幼虫の食草は各種のササ・タケの類(イネ科植物)である。

白水 隆]


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