グラウビュンデン州(読み)グラウビュンデン(その他表記)Graubünden

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グラウビュンデン州」の意味・わかりやすい解説

グラウビュンデン〔州〕
グラウビュンデン
Graubünden

ロマンシュ語ではグリシュン Grishun,イタリア語ではグリジョーニ Grigioni。スイス東端にあるスイス最大の州。州都クール。ライン川とイン川の上流域にあり,特にライン川の水源の大部分はこの州にある。ベルナーオーバーラントのほか,アドゥーラ,アルブラ,シルブレッタ=レティコンなどの山脈が連なり,北西にテーディ (3614m) ,南東にベルニナ (4049m) などの高峰がそびえる。住民は半数強 (北部-中部,中心はクール) がドイツ語,約3割 (東端イン地方,西端フォルダーライン地方および中部) がロマンシュ語,1割強 (南部ベルニナ地方,南西端モエザ地方ほか) がイタリア語を話す。また,半数強がプロテスタントでドイツ語を話す地方に多い。この地方は古くはローマの属州ラエティアで,多くの小共同体があり,14~15世紀に,ゴッテスハウスブント (神の家の同盟。 1367) ,オーバーブント (上地域同盟) 別称グラウエルビュント (灰色同盟──州名の起源。 95) ,ツェーンゲリヒテンブント (十裁判官区連盟。 1436) の3つの同盟ができた。これらは互いに結び合い,さらにスイス同盟の支援を得て,1499年にはマクシミリアン1世戦い (シュワーベン戦争) ,スイスの独立を事実上認めさせた。ただしその後も,この地方は,交通上,戦略上の位置の重要さから,オーストリア,フランスなどの侵略を受けた。スイス同盟への加入は 1803年。牧畜,林業が盛んで,水力開発が進み,ブドウ,トウモロコシなどの栽培,ワイン醸造と,クール周辺の軽工業のほか,観光とスキーが主要な収入源。ダボスザンクトモリッツ,ポントレジーナ,アローザなどに観光客が多い。面積 7106km2人口 17万 411 (1991推計) 。

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