日本大百科全書(ニッポニカ) 「グループ・ゼロ」の意味・わかりやすい解説
グループ・ゼロ
ぐるーぷぜろ
Group Zero
現代美術のグループ名。1958年ドイツの美術家マックHeinz Mack(1931― )、ピーネOtto Piene(1928―2014)によってデュッセルドルフで結成された。1961年にはユッカーGünther Uecker(1930― )を加え、機関誌『ゼロ』を発行し、1966年に解散するまでハプニングやイベントを含む活発な展覧会活動を行った。このグループは、ペブスナーやモホリ・ナギの着目した光と運動による表現の可能性を発展させようとするもので、空間派のフォンタナを精神的な父とし、同時代ではヌーボー・レアリスムのメンバー、とくにイブ・クラインやティンゲリーと交流が深い。白いレリーフ面に多くの釘(くぎ)を打ち込んで光と影を反映させるユッカー、回転するガラスの円盤に光を当てるマック、透明なビニールのチューブで光る風船をつくるピーネといった制作はオプティカル・アート(オプ・アート)やキネティック・アートと軌を一にするが、さらに彼らは現代のテクノロジーを活用して見る者を包み込む環境芸術を志向した。
[野村太郎]