日本大百科全書(ニッポニカ) 「グレンジャー」の意味・わかりやすい解説
グレンジャー
ぐれんじゃー
Clive William John Granger
(1934―2009)
イギリスの経済学者。ウェールズのスウォンジーに生まれる。ノッティンガム大学で数学と経済学を学び、1955年に卒業、1959年に同大学で統計学の博士号を取得した。ノッティンガム大学やアメリカのプリンストン大学、スタンフォード大学で研究生活を送ったのち、ノッティンガム大学に戻り、経済学および統計学の教授となった。1974年ふたたびアメリカに渡り、カリフォルニア大学サン・ディエゴ校の経済学部の教授につき、2003年まで務め、名誉教授となった。
グレンジャーはプリンストン大学時代から計量経済学者として活躍し、多くの論文、著作を著した。業績としては、経済時系列のスペクトル分析、時系列モデルでの因果関係(Granger causality)とグレンジャーテストの導入があげられる。さらにR・F・エングルと共同して、1987年に経済均衡における統計的表現として共和分(コインテグレーションcointegration)の概念を取り入れた経済推計モデルを開発した。2003年に、「共和分検定による経済時系列分析手法の確立」により、エングルとともにノーベル経済学賞を受賞した。
[金子邦彦]
『クライブ・W・J・グレンジャー著、宜名真勇・馬場善久訳『経営・経済予測入門』(1994・有斐閣)』