改訂新版 世界大百科事典 「グロースマン」の意味・わかりやすい解説
グロースマン
Vasilii Semyonovich Grossman
生没年:1905-64
ソ連邦の作家。ウクライナの生れ。モスクワ大学を卒業後,ドンバスで化学技師として働く。この体験により処女作の中編《グリュカウフ》(1934)を書き,ゴーリキーに認められる。最初の長編《ステパン・コリチューギン》(1937-40)は,炭坑村に育った若い労働者がしだいに革命運動に加わるようになってゆく過程を描いた作品で,当時は注目を集めたが,個人崇拝と粛清のただなかに書かれた小説だけに,きわめて公式的で芸術性に乏しい。第2次大戦中は《赤い星》紙の従軍記者として,一連のルポや中編《人民は不死》(1942)を発表。未完の長編《正義の事業のために》(1952)は公式批評から思想的誤謬を含んだ作品と批判された。
執筆者:原 卓也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報