イタリア中世史上の〈教皇派〉。イタリア語ではグエルフォGuelfo。シュタウフェン家の皇帝に対抗したドイツ,ザクセンの大貴族ウェルフェン家の名に由来するが,反シュタウフェン家を示す名称として借用されたもの。13世紀前半に広く普及し,皇帝フリードリヒ2世側のギベリン(〈皇帝派〉)に対抗する勢いを示した。1250年のフリードリヒの死後,ゲルフの間では教皇を中心に,フランスからシャルル・ダンジューを招いてシチリア王とする計画が進められ,66年に実現した。これ以後,ゲルフは教皇,アンジュー家,フランス王に結びつく勢力となり,大きく発展した。13世紀後半におけるフィレンツェの躍進は,このようなゲルフの中心都市としての役割に負うところが大きい。以上のようにこの語は厳密には13世紀以降のものであるが,〈反皇帝派〉という意味で,後世の歴史家によって12世紀のロンバルディア都市同盟の時代を記述する際に使用されることも多い。
→ギベリン
執筆者:清水 廣一郎
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…イタリア語ではギベリノGhibellino。ゲルフ(〈教皇派〉)と対比して用いられる。この語は,12,13世紀に皇帝として積極的なイタリア政策を展開したシュタウフェン家の居城ウィーベリング(現,ワイプリンゲン)の名に由来するといわれる。…
※「ゲルフ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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