日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゲームの規則」の意味・わかりやすい解説
ゲームの規則
げーむのきそく
La Règle du Jeu
フランス映画。1939年作品。監督ジャン・ルノワール。ブルジョワの館を舞台に、貴族、飛行士、密猟者、使用人たちが入り乱れて色恋沙汰(いろこいざた)を繰り広げるドタバタ劇。ルノワールは「陽気な悲劇」を目ざしたというが、第二次世界大戦前夜という時代状況のなか、退廃的で風紀を乱すとして不評を買い、公開直後に上映禁止に。失意のルノワールはアメリカに渡った。しかし、複数の登場人物個々のリアルな存在感を生かす即興的演出、奥行きのある縦の構図を生かした画面の中を縦横無尽に動き回るカメラ、長回し撮影など、古典的な映画の常識を超えた新しさは、アンドレ・バザンやヌーベル・バーグの世代に高く評価された。1959年のベネチア国際映画祭で復元版が上映されたのを機に再評価が進み、現在では映画史上もっとも有名な作品の一つとなっている。
[伊津野知多]