フランスのカンヌ、ドイツのベルリンと並ぶ世界三大映画祭の一つで、イタリア北部のリド島で開かれる。1932年に始まり、主要な映画祭では世界最古の歴史がある。シンボルはライオン。芸術性の高い映画が多く集まるとされるが、近年は米アカデミー賞を受賞した「ラ・ラ・ランド」のような作品も出品されている。(共同)
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(富岡亜紀子 ライター / 2008年)
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イタリアのベネチアのリド島で、毎年8月末から9月初頭に開催される国際映画祭。1932年に隔年開催のベネチア・ビエンナーレの映画部門として始まり、1934年から各年開催へと移行した。しだいにファシスト政権のプロパガンダ的な性格が強まり、第二次世界大戦中の1943年から1945年までは中断を余儀なくされた。また戦後の1969年から1979年までは、フランスの五月革命の余波で、コンクール部門が停止されるなど、しばしば政治によって翻弄(ほんろう)される悲運に見舞われた。国際映画製作者連盟が公認し、コンクール部門を有する映画祭としては、もっとも長い歴史を誇り、後発のカンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭と並んで世界三大映画祭に数えられている。現在はコンクール部門のほかに、世界映画の新しい潮流を紹介する「映画の地平(オリッゾンティ)」や実績のある作家の映画を上映する「コンクール外」などの部門を有する。第1等である金獅子賞の受賞作に与えられる翼を持った獅子のトロフィーは、町の守護聖人である聖マルコを象徴している。
1950年代には、黒澤明(くろさわあきら)の『羅生門(らしょうもん)』(1950)に金獅子賞、溝口健二(みぞぐちけんじ)の『西鶴(さいかく)一代女』(1952)、『雨月物語』(1953)、『山椒大夫(さんしょうだゆう)』(1954)に3年連続して銀獅子賞を与え、日本映画の時代劇が国際的に注目されるきっかけをつくった。現代劇では、稲垣浩(いながきひろし)の『無法松の一生』(1958)と北野武の『HANA-BI』(1997)に金獅子賞を授与しているほか、塚本晋也(つかもとしんや)(1960― )や三池崇史(みいけたかし)(1960― )、園子温(そのしおん)(1961― )など気鋭の監督の作品を積極的に紹介している。
[西村安弘]
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