コイチヨウラン（読み）こいちようらん

日本大百科全書(ニッポニカ)

コイチヨウラン
こいちようらん / 小一葉蘭
[学] Ephippianthus schmidtii Reichb.f.

ラン科（APG分類：ラン科）の多年草。地中を横走する根茎に1枚の葉がつく。葉は広卵形で長さ1.5～3センチメートル、短い柄がある。7、8月に10～20センチメートルの花茎を出し、淡黄色で径約5ミリメートルの花を2、3個つける。唇弁は全縁で距(きょ)がない。北海道、本州、四国の亜高山帯の針葉樹林の林床に生え、千島、樺太(からふと)（サハリン）にも分布する。この属は2種からなり、ハコネラン（箱根蘭）E. sawadanus (F.Maekawa) Ohwiは、唇弁の縁(へり)に歯牙(しが)があり、埼玉、神奈川、静岡、奈良県の山地にまれにみられる。

［井上　健　2019年5月21日］

コイチヨウラン

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

世界大百科事典（旧版）内のコイチヨウランの言及

【ハコネラン】より

…日本特産種で，関東，近畿の太平洋側の山地に分布し，おもにブナ帯の林床に生育する。近縁のコイチョウランE.schmidtii Reichb.f.は，亜高山帯の針葉樹の林床に生育し，唇弁に鋸歯がなく，全縁である。本州中部以北の北日本からサハリン，南千島に分布する。…

※「コイチヨウラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」