日本大百科全書(ニッポニカ) 「コウリバヤシ」の意味・わかりやすい解説
コウリバヤシ
こうりばやし / 行李葉椰子
talipat palm
[学] Corypha umbraculifera L.
ヤシ科(APG分類:ヤシ科)コウリバ属8種中の1種。タリポットヤシともいう。本種はスリランカゾウゲヤシと称されるゾウゲヤシ類の1種でもある。行李葉の名をあてるが、属名のコリファからの転訛(てんか)とも考えられる。コリファはギリシア語の頂上の意味で、世代の末期に1回だけ幹頂に高い花序(花軸)をつけ無数に開花したのちに枯死するので、頭花を形容したもの。巨大なヤシで単幹の高さ20~30メートル、径0.8メートル、環紋が幹全体にあって螺旋(らせん)状の条列を形成する。葉は掌状葉で暗緑色を呈し、小葉は長さ0.8~1メートルで先は2裂する。花序は高さ6~10メートルのところにつき、花は両性花で淡黄色を呈し、40~80年に一度開花し、結実後枯死する。果実は青ウメに似た球形で径2センチメートル。種子は球形で硬くボタンなどの工芸材料となり、葉は傘や屋根に用い、古代には仏典の用紙ともなった。フィリピン、バングラデシュ、スリランカ、スンダ列島などに分布する。スリランカ原産種はとくに巨大で、巨大な変種もある。
[佐竹利彦 2019年4月16日]