改訂新版 世界大百科事典 「コッコロバ」の意味・わかりやすい解説
コッコロバ
sea grape
Coccoloba uvifera L.
西インド諸島をはじめ熱帯アメリカ原産のタデ科の低木。和名のハマベブドウの名のとおり,海岸近くによく育ち,防風用に植えられることもある。枝はややジグザグ状に伸び,高さ6mくらいになる。葉は厚い革質で,光沢があり,円心形,幅15~18cm,主脈は赤色を帯びる。夏に上部葉腋(ようえき)に長さ15~25cmの総状花序をつけ,芳香のある黄白色の小花を多数つける。やがて花被片が多肉となり,直径1cm以上の果実をブドウの房のようにつけ,下垂する。紫赤色に熟した果実は甘酸っぱく,食用となるほか,ゼリーを作ったり,アルコール飲料にもなるという。若木を観葉鉢物として栽培するが,大型温室で育てないと結実しにくい。熱帯域では街路に植樹され,また,材は硬いので戸棚を作ったりする。樹皮を染料や医薬にも利用するという。繁殖は実生,挿木,取木によるが,高温期がよい。寒さには強く,5℃くらいで越冬する。明治末年に渡来した。
ハマベブドウ属Coccolobaは中南米の熱帯に100種あまりが分布し,数種がハマベブドウと同じように硬い材を利用されている。果実が食用とされているものもある。
執筆者:高林 成年
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報