こて

精選版 日本国語大辞典 「こて」の意味・読み・例文・類語

こて

  1. 〘 副詞 〙 ( 多く「と」を伴って用いる ) 量の多いさま、濃厚なさまを表わす語。こてこて。こってり。
    1. [初出の実例]「材木を多分(コテ)と買ひ込んだんだが、置きどころがねへんで困ッてゐるんですから」(出典落語宝船(1900)〈初代三遊亭円左〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「こて」の意味・わかりやすい解説

こて
こて / 鏝

形を整えるために用いられる道具。(1)左官用、(2)裁縫細工物用、(3)整髪用などがある。

(1)左官用のこては、平らな小形の鉄製品に柄(え)のついたもの。この左官用のものがもっとも古くから用いられたようで、室町時代の『建保職人尽歌合(けんぽうしょくにんづくしうたあわせ)』や『七十一番職人尽歌合』の壁塗師の絵にみられる。現在、泥、漆食(しっくい)、セメントなどを塗るのに用いられる。

(2)裁縫用具としては、柄杓(ひしゃく)形の鉄、銅製の中に炭火を入れて使う火熨斗(ひのし)と、小部分に用いるためのこてがある。絹織物の地直しや、絹、毛織物などの手ではつかないきせかけや、縫い目を整えるのに用いる。第二次世界大戦の直後までは炭火用の焼ごてであったが、現在はほとんど電気ごてに変わっている。笹(ささ)の形に似た笹ごては先がとがった形で、縫い代(しろ)を割ったりするのに便利であり、先の丸い形の丸ごては、角(つの)べらでは印がつきにくい布の焼べらとしても使われる。埼玉県川越(かわごえ)市の喜多院にある『職人尽絵屏風(びょうぶ)』には、足袋(たび)師が、つまさきのいせこみや、かかとの形を整えるための棒状のこてが描かれている。棒状のこては、江戸時代中期からは木綿足袋仕立て職人に多く用いられた。このほか、細工物の袋仕立てや、押し絵などには、小形のこてが使われ、焼き絵をかくためのこてもある。

(3)整髪用具のものは、大正末ごろから束髪ウエーブを出すため、髪を挟んでセットする焼ごてがつくられ、パーマネント・ウエーブが一般化するまで主として用いられた。

[岡野和子]


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知恵蔵 「こて」の解説

コテ

「コテハン」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のこての言及

【アイロン】より

…衣服類のしわ伸ばしや形なおしに用いる道具。火熨斗(ひのし)やこても用途は同じ。日本では古くから敷きのしや寝おしが行われ,火熨斗やこての使用は平安時代の《和名抄》にみられる。…

※「こて」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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