日本大百科全書(ニッポニカ) 「コヒオドシ」の意味・わかりやすい解説
コヒオドシ
こひおどし / 小緋縅
small tortoiseshell
[学] Aglais urticae
昆虫綱鱗翅(りんし)目タテハチョウ科に属するチョウ。別名ヒメヒオドシ。ヨーロッパより東アジア北部にわたってユーラシア北部に分布する種で、日本では北海道と本州中部地方の高地帯(おおよそ1300メートル以上)に生息し、本州の高山チョウの一つに数えられる。東北地方の山地にもまれに発見されるが、これは土着のものではなく、ほかの地域から飛来したものと考えられる。はねの開張50ミリメートル内外。年1回の発生、成虫態で冬を越し、越年した母チョウは春に産卵、孵化(ふか)した幼虫は7月下旬ごろから羽化して成虫となるが、8月に多く出現する。飛び方は速く、高山のお花畑に群がることが多い。幼虫の食草はコバノイラクサ、ホソバイラクサ、エゾイラクサなどのイラクサ科植物である。
[白水 隆]