デジタル大辞泉
「ごさんなれ」の意味・読み・例文・類語
ごさん‐なれ
[連語]《断定の助動詞「なり」の連用形「に」に、係助詞「こそ」、動詞「あり」の連体形、推定の助動詞「なり」の已然形「なれ」の付いた「にこそあるなれ」の音変化。近世中期以降「ござんなれ」とも》
1 …であるらしいな。…であるようだな。
「入道が仰せをば軽うしける―」〈平家・二〉
2 (上に「こそ」を用いて)…なのだな。…だな。
「彼奴こそかの丑の時詣り―」〈浄・蝉丸〉
3 …があるな。…あるわい。
「究竟の物見櫓―と、かけ上る門の松」〈浄・盛衰記〉
4 手ぐすねひいて待つようすにいう。よし来た。さあ来い。
「すは祐康よ、―」〈伎・小袖曽我〉
[補説]2・3・4は近世中期以降、誤って「御座る」「御参」の変化形と受け取られたもの。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ごさん‐なれ
- 〘 連語 〙 ( 近世中期以後、誤って「ござんなれ」とも )
- [ 一 ] ( 断定の助動詞「なり」の連用形「に」に、係助詞「こそ」、動詞「あり」、推定の助動詞「なり」の已然形「なれ」が付いた「にこそあるなれ」の変化したもの ) (そのことばから判断すると)…であるようだな。…であるらしいな。…であるよな。ごさなれ。
- [初出の実例]「よしよし、おのれらは、内府が命をば重うして、入道が仰をば軽うしけるごさんなれ」(出典:平家物語(13C前)二)
- [ 二 ] 後世、[ 一 ]の語源が忘れられて、「ごさん」が「御座る」の変化したもの、あるいは「御参」のように意識されたもの。
- ① ( 上に「こそ」を用いて ) …なのだな。…だな。
- [初出の実例]「きゃつこそかのうしの時参りござんなれ」(出典:浄瑠璃・蝉丸(1693頃)二)
- ② ( 「御座るなれ」の変化と意識したものか ) …があるな。…があるわい。
- [初出の実例]「『こはいかにいかに』と驚く中(うち)に心付(つき)、『究竟(くっきゃう)の物見櫓ござんなれ』とかけ上る門の松」(出典:浄瑠璃・平仮名盛衰記(1739)三)
- ③ 手ぐすねひいて待つさまにいう。やって来たな。さあ来い。よし来た。
- [初出の実例]「相手なければ詮(せん)なしと出行(いでゆく)向ふへ、かっきと立たる白羽の矢。『ごさんなれ』とふり返れば」(出典:浄瑠璃・源頼家源実朝鎌倉三代記(1781)九)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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