小袖曽我(読み)コソデソガ

デジタル大辞泉 「小袖曽我」の意味・読み・例文・類語

こそでそが【小袖曽我】

謡曲四番目物曽我兄弟が、工藤祐経くどうすけつねを討つに際して母にいとまごいに行き、兄祐成すけなりの取りなしで弟時致ときむね勘当を許してもらう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小袖曽我」の意味・わかりやすい解説

小袖曽我
こそでそが

能の曲目。四番目物。五流現行曲。金春(こんぱる)流は明治期の復曲。作者は宮増(みやます)ともいう。出典は『曽我物語』。曽我十郎シテ)と五郎(ツレ)は、源頼朝(よりとも)の富士の巻狩を機に父の仇(あだ)を討とうと、母(ツレ)にいとまごいに行く。かってに還俗(げんぞく)したため勘当した五郎に母は会おうとしない。乳母(うば)の春日局(かすがのつぼね)も冷たい。十郎の説得と五郎の真情に母の怒りも解け、兄弟は別れの酒宴にりりしく相舞に舞い、狩場へと旅立っていく。曲名となった、母に形見の小袖を請うという「小袖乞(ごい)」のことは、現行曲本文には扱われていない。『夜討曽我(ようちそが)』『禅師曽我』はこの能の後編にあたる。幸若(こうわか)や古浄瑠璃(こじょうるり)にも『小袖曽我』があり、後世の歌舞伎(かぶき)の曽我物系列の先駆的作品となっている。

増田正造

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