究竟(読み)キュウキョウ

デジタル大辞泉 「究竟」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐きょう〔キウキヤウ〕【究×竟】

物事をきわめた、最高のところ。究極。くきょう。くっきょう。「究竟目標
つまるところ。結局。
[類語](2畢竟結局矢張り所詮しょせんどの道何れにしても結句ついとどの詰まり詰まるところ帰するところせんずるところ要するにいずれどうせつまりとうとういよいよ挙げ句挙げ句の果て差し詰め果ては何と言ってもどっち道もはやとにかく何しろ何せ何分なにぶん何分にもなんにせよともかくともかくもともあれとまれとにもかくにもそれはともあれ遅かれ早かれ善かれ悪しかれすんでにほとんどすんでのことすんでの所どうにかこうにかどうにかやっとようやくなんとかかろうじてからくもやっとこさ間一髪危なくあわやすれすれようやっとどうかこうかかつがつどうやらこうやら曲がりなりにもやっとの事でまだしもまだえんやらやっとようよう危うく九死に一生を得るまあまあまあよっぽどかなりなかなかわりあいわりかたわりかし割に比較的まずまずかすかすどうやらなんとかかんとかそこそこそれなり増し次善セカンドベストベター及第無難ほどほど捨てたものではない満更まんざらでもないいまだしいま不徹底不十分及ばずながら不全不完全どうなりこうなり一応急場しのぎ当座しのぎ一時しのぎその場しのぎ

くっ‐きょう〔‐キヤウ〕【×竟】

《「くきょう」の促音添加》
[名・形動]
きわめて力の強いこと。すぐれていること。また、そのさま。屈強。
「跡に残ったのは―の若者ばかりである」〈鴎外阿部一族
たいへん好都合であること。また、そのさま。あつらえむき。
「私のようなものにとってはまことに―な世界であった」〈中勘助銀の匙
[副](スル) つまるところ。結局。畢竟ひっきょう
「―するに善悪正邪の区別は」〈透谷内部生命論
[類語]1屈強頑丈堅牢堅固頑強強固強健確固/(2もってこい便宜好都合便利利便タイムリー有り難いうれしいおんの字重宝ちょうほう有用有益簡便軽便至便程よい絶好願ったり叶ったり願ってもない渡りに船格好頃合ころああつらえ向き打って付けぴったり好個好適適する適う適える合う沿うそぐう向く似合う似つかわしいふさわしいしっくり当てはまる適合する適当する合致する即応する同調するフィットする相応しか即する肌が合う適格適材与し易いしかるべきマッチ合い口合目的文句無しリーズナブル好条件見合う匹敵言い得て妙あたかもよし三拍子そろ似合わしいジャストミート思いがけない当を得る馬が合う息が合う順当どんぴしゃり所を得る最適つぼにはまる水を得たうおのよう結構尽くめ

く‐きょう〔‐キヤウ〕【×竟】

仏語。物事の最後に行きつくところ。無上。終極。
極めてすぐれていること。また、そのもの。
「主従三騎―の逸物いちもつどもにて」〈平治・中〉
極めて都合がよいこと。あつらえむき。くっきょう。
卒爾そつじの用にも叶ひて―の事にてあるなり」〈後鳥羽院御口伝

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精選版 日本国語大辞典 「究竟」の意味・読み・例文・類語

く‐きょう‥キャウ【究竟】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「く」は「究」の呉音 )
  2. ( 形動 ) 仏語。物事の究極に達すること、また、達した所。終極。くっきょう。
    1. [初出の実例]「為是究竟法者、問吾所証尽無生二智、為究竟、未究竟」(出典法華義疏(7C前)一)
    2. 「究竟せること虚空にして、広大にして辺際なし」(出典:三帖和讚(1248‐60頃)高僧)
  3. ( 形動 ) 力や技術、技量などが非常にすぐれていること。くっきょう。
    1. [初出の実例]「主従三騎くきゃうの逸物どもにて」(出典:金刀比羅本平治(1220頃か)中)
  4. ( 形動 ) 非常につごうが良いこと。絶好の機会。くっきょう。
    1. [初出の実例]「卒爾の用にも叶ひて、究竟の事にてあるなり」(出典:後鳥羽院御口伝(1212‐27頃))
  5. くきょうそく(究竟即)」の略。
    1. [初出の実例]「三身円満し、究竟妙覚のくらひにかなひ給へる」(出典:法華修法一百座聞書抄(1110)六月二六日)

究竟の語誌

( 1 )「究極」とほぼ同義であるが、梵語の uttara の訳として用いられたため、のように仏教で最終至高の地位、境地を指すようになった。それが、「平家物語」などの軍記物語や「吾妻鏡」で、のように武芸の優れている意、さらに城や牛が頑丈である意にも転用されるようになった。
( 2 )本来は「くきゃう」という呉音読みを正しいものと認識していたようであるが、軍記物語などでは強調表現として「くっきゃう」と促音化したものも多く見られる。そのため後には「屈竟」と書くようにもなる。


くっ‐きょう‥キャウ【究竟】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「くきょう」の変化した語 )
  2. 物事のせんじつめたところ。完全な域。究極の境地。つまるところ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  3. ( 形動 ) 武勇の力が強いこと。きわめて頑丈なこと。また、きわめてすぐれていること。
    1. [初出の実例]「もとより究竟(クッキャウ)〈高良本ルビ〉の城也」(出典:平家物語(13C前)七)
    2. 「在所しれなば究竟(クッキャウ)の者共をつかはし」(出典:浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)四)
  4. ( 形動 ) たいへんつごうのよいこと。あつらえ向き。
    1. [初出の実例]「すはや究竟(クッキャウ)の事こそ有けれ。師直・師泰を讒し失はんずる事は、此の僧にまさる人非じと」(出典:太平記(14C後)二六)
    2. 「金子廿両の預り手形。是究竟(クッキャウ)の物と悦び」(出典:浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)四)

きゅう‐きょうキウキャウ【究竟】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) 事をきわめて、究極に達したところ。最高であること。また、そのさま。くきょう。
    1. [初出の実例]「源氏書籍者、紫明抄・水源抄。伊勢物語註者、経信卿知顕抄。究竟物候」(出典:新札往来(1367)上)
    2. 「究竟(キウキャウ)の幸福にいたらないなら」(出典:春と修羅(1924)〈宮沢賢治〉オホーツク挽歌)
  3. ( 副詞的に用いる ) つまるところ。結局。畢竟(ひっきょう)
    1. [初出の実例]「其の目的は一掬の涼味を買はんとするに在り、涼味は水に在り、渠等は究竟水を買ひに行く也」(出典:春城随筆(1926)〈市島春城〉趣味談叢)
    2. [その他の文献]〔通俗編‐語辞・究竟〕
  4. くきょう(究竟)くっきょう(究竟)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「究竟」の意味・わかりやすい解説

究竟
くきょう
uttara

仏教用語。「より高い」の意から,究極を意味する。また,「事物を徹底的にきわめる」の意にも用いられる。また「絶対」の意。

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