日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイホウチョウ」の意味・わかりやすい解説
サイホウチョウ
さいほうちょう / 裁縫鳥
tailorbird
鳥綱スズメ目ヒタキ科ウグイス亜科サイホウチョウ属に含まれる鳥の総称。この属Orthotomusの約10種のうちに、枝についたままの大きな木の葉1、2枚を、クモの糸などを用いてびょうで留めるように縫い合わせて巣をつくる種があり、和名と英名は、この習性からつけられた。イギリスの小説家キップリングJ. R. Kiplingが『ジャングル・ブック』で紹介してから、広く知れ渡った。インドから大スンダ列島にかけて分布し、各種とも渡りはしない。いずれもやぶの中で昆虫を捕食する。
人家近くにすむことが多く、人々になじみが深いオナガサイホウチョウO. sutoriusは、全長約13センチメートル、嘴(くちばし)はやや長く下に曲がっており、長い尾を垂直に立てる習性がある。額から頭頂にかけて赤褐色のほかは、上面がオリーブ褐色、下面は灰色をしている。チーヤッと聞こえる単純な声を繰り返して鳴き、聞いている人間をしだいにいらいらさせる鳥として悪名が高い。
[竹下信雄]