改訂新版 世界大百科事典 「サバリ」の意味・わかりやすい解説
サバリ
Jérôme Savary
生没年:1942-
アルゼンチン生れの画家,演出家,舞台装置家。俳優として舞台にも立つ。パリの装飾美術学校に学び,ガルシア演出の《ユビュ王》(1965)の装置を担当。1966年自作の《箱》で演出家としてデビュー。67年ダニエル・ソラノ劇場におけるアラバル作《迷路》の演出では,原作に登場しない人物や動物までを演技させてハプニング演劇のきっかけをつくった。73年〈グランド・マジック・サーカス〉を結成し,いっさいの文学的なものと絶縁して,子どもたちも喜ぶサーカスの娯楽性を演劇に回復させようとした。代表作《モーセから毛沢東まで》(1974)は,歴史上の人物の典型--ソクラテス,カエサル,キリスト,ジャンヌ・ダルク,ルイ14世,ショパン,S.フロイト,ヒトラーなど--をショーの中に登場させて,観客を喜ばす手法を用いている。おそらくサバリほど演劇を一貫して子どもの遊戯性としてとらえてきた演出家はいないだろう。
執筆者:利光 哲夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報