日本大百科全書(ニッポニカ) 「サポウイルス」の意味・わかりやすい解説
サポウイルス
さぽういるす
sapovirus
冬季に流行する感染性胃腸炎の原因となる病原体の一つ。ノロウイルスと同じカリシウイルス科に分類される小型球形ウイルスで、ヒト以外の動物には感染せず、培養細胞で増やすこともできない。1977年(昭和52)、札幌市の児童福祉施設で発生した胃腸炎の集団感染で初めて報告され、当初サッポロウイルスとよばれていた。2002年の国際ウイルス学会で非細菌性急性胃腸炎を発症する小型球形ウイルスには2種類あることが発表され、その一つがサポウイルス、もう一方がノロウイルスと正式に命名された。
サポウイルスは疫学調査も基礎的研究もノロウイルスに比べ大幅に遅れているが、おもな症状や対処法などはノロウイルスと同じである。潜伏期間は12~48時間程度で、おもな症状は下痢や嘔吐(おうと)、腹痛、発熱など。一般的に感染後の経過はノロウイルスと同様に軽症ですむが、ノロウイルスに比べて乳幼児に流行することが多く、乳幼児や高齢者に感染した場合、抵抗力のなさから重症化する危険性がある。保菌者の排泄(はいせつ)物や吐瀉(としゃ)物から手を介して感染するため、汚物を片付ける場合は使い捨ての手袋をつける、汚れたものは塩素系消毒薬で消毒する、十分な手洗いをする、などの注意が必要である。
[編集部]