ノロウイルス(読み)のろういるす(英語表記)norovirus

翻訳|norovirus

共同通信ニュース用語解説 「ノロウイルス」の解説

ノロウイルス

冬の三大感染症の一つ、ウイルス性急性胃腸炎の主な原因ウイルス。ノロウイルスが付着した物を食べるなどして感染すると、嘔吐おうと下痢などを引き起こす。集団感染が頻繁に起き、国内では年間約1万人の患者が発生し、世界では発展途上国を中心に約20万人の死者が出ていると推計されている。ウイルスの培養が難しいため、有効な治療薬やワクチンはない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノロウイルス」の意味・わかりやすい解説

ノロウイルス
のろういるす
norovirus

冬季に流行する感染性胃腸炎や食中毒の原因となる感染力の強い病原体。カリシウイルス科に分類される。1968年アメリカのオハイオ州ノーウォークで集団発生した急性胃腸炎患者から検出された小型球形ウイルスで、当初はノーウォークウイルスとよばれた。その後「ノロウイルス属」とよぶことが国際ウイルス学会で承認された。

 ノロウイルスに汚染されたカキなどの生貝をはじめとする食品から経口感染するほか、感染した患者の糞便(ふんべん)や吐瀉(としゃ)物を介して二次的に感染する。感染は冬季に多く、腸内で増殖し数日の潜伏期をおいて発症し下痢が1~2日ほど続くほか、嘔吐(おうと)や腹痛発熱を伴う。一般的には感染後の経過は良好だが、乳幼児施設や高齢者施設などで集団感染することが多く、脱水症状から重症となって死亡する例もある。ノロウイルス感染症は近年増加傾向にあり、2006年や2012年には世界的な流行をみた。ウイルスは変異をくり返し、ヒトからヒトへ感染するよう変異することもあり、新型のウイルスに対する抗体をもたないために大流行することが多い。ノロウイルスに対するワクチンは、一部有効性が認められるものもあるがまだ開発途上にある。予防のためには病原体に触れることを避け、手首までを含めた十分な手洗いと、ウイルスを吸い込まないためのマスク着用やうがいを励行する。消毒にはアルコール系は効果がなく、塩素系漂白剤などを希釈して用いる。

[編集部]

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