シコタン(読み)しこたん

日本歴史地名大系 「シコタン」の解説

シコタン
しこたん

漢字表記地名「斜古丹」「色丹」のもとになったアイヌ語に由来する地名(島名)。天保郷帳の「東地嶋々之分」に「子モロ持場」のうち「シコタン」とみえる。仮名表記は「シコタン」のほか異表記をみない。漢字表記は「志古(旦)(木村「蝦夷日記」)がみられる。「蝦夷拾遺」はシコタン島について「キイタツプ東の沖凡十里余に有り、周囲二十里余、蝦夷戸口詳なることを不知、産物キイタツプへ持来て交易す」と記し、「蝦夷日誌」(三編)には「周廻三十四里余」「平島にして高山無。只北の方に当りて少し平山、椴木立有のミ。島中ニ沼多し。至て湿深き地にして霧靄日々難退、水甚わろし。番屋五ケ所」とある。「東蝦夷地場所大概書」には「同島廻船の掛り澗は五、六ヶ所あり。至て宜し」とみえ、高田屋嘉兵衛が「日本一の澗なり」と賞賛したという(「東行漫筆」文化六年四月二九日条)。ほかに「此島の東浦は至て冬湊によろしき処なる故ニ、異国船共皆越年をすると、今に云伝えたりけり(「蝦夷日誌」三編)、「樹木ハ少き方なれど唐檜椴雑木もありて、差而不自由もなし」(「東行漫筆」前掲条)などと記録されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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