スラッジ(読み)すらっじ(英語表記)sludge

翻訳|sludge

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スラッジ」の意味・わかりやすい解説

スラッジ
すらっじ
sludge

泥状の産業滓(さい)あるいは廃水処理殿物等の一般的呼称。金属を表面処理する際の酸洗い工程や、水と接するボイラー船舶あるいはタンク類等の金属質の表面が剥離堆積(はくりたいせき)して泥状となったものを一般にスラッジとよぶ。この場合、主成分は金属またはその化合物である。

 一方、産業廃水の処理工程では、定められた排水基準に従って廃水中の有機および無機含有物を除くため、生物化学的処理あるいは無機化学的処理が行われる。前者は活性汚泥法がもっとも多く用いられ、この処理でBOD(生物化学的酸素要求量bio-chemical oxygen demand)の90%以上が除去される。しかし金属イオンなどを含む場合にはさらにpH調整、中和沈殿等の無機化学的処理を行う必要がある。これらいずれの工程でもスラッジの生成があるため、その処理や利用が問題となる。また、粗金属の電解精製の際、電気化学的に貴な物質が電解液に溶出することなく残留した、いわゆるアノードスライムanode slime(陽極泥)も広い意味でスラッジとよばれることがある。

 このようなスラッジは種々雑多な成分をもっているので処理方法は一様ではないが、とくに金属成分を多く含むものに対しては、金属二次資源の一つとして合理的な処理による効率のよい金属回収が重要である。

[阿座上竹四]

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