改訂新版 世界大百科事典 「シャーリエ」の意味・わかりやすい解説
シャーリエ
Carl Vilhelm Ludvig Charlier
生没年:1862-1934
スウェーデンの天文学者。1897-1927年ルント大学天文学教授。1908年にH.W.M.オルバースのパラドックスの解決案として階層宇宙論を提唱した。今では,パラドックスは相対論的宇宙で解消されたが,シャーリエの階層宇宙は,銀河,銀河団,超銀河団などの系列に具現されている。1916-22年にはB型星の空間分布の研究から,太陽を含む直径2000光年,厚さ700光年の恒星集団,つまり局部恒星系を発見した。その系統的運動はのちのJ.H.オールトなどの銀河回転の研究の先駆となった。また,この研究に際して考えられた恒星分布の統計的手法は,数理統計学の分野に大きく寄与することとなった。シャーリエは天体力学にも造詣が深く,ルント大学において1898年から行った天体力学の講義に基づいた著書《天体力学》全2巻(1902,07)は,優れた教科書として定評がある。
執筆者:堀 源一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報