日本大百科全書(ニッポニカ) 「ショショーニ」の意味・わかりやすい解説
ショショーニ
しょしょーに
Shoshone
北アメリカ西部、グレート・ベースン(大盆地)の先住民(アメリカ・インディアン)の一つ。ネバダ州、ユタ州、アイダホ州、ワイオミング州に住む。もともとは、乾燥したグレート・ベースン一帯を徒歩で移動しながら、ウサギ、ネズミ、トカゲ、ヘビなどの小動物やイナゴ、アリなどの昆虫をとり、松の実やユリの球根などの植物性食物を採集していた。18世紀ころからは、馬を手に入れて騎馬狩猟民となったショショーニと、相変わらず徒歩で狩猟採集生活を送るショショーニに分かれた。馬に乗るようになったショショーニは、バンド的集団を形成し、バイソンのような大形動物を狩り、また活動範囲が広がって好戦的になった。テキサス州のコマンチは、ワイオミング州のショショーニから分派した騎馬ショショーニで、他の部族を襲って略奪するため恐れられた。ネバダ州のショショーニは徒歩の狩猟・採集生活を続けたため「掘る人々(ディガーズ)」とよばれた。季節によって食物がとれる場所が異なり、また量も乏しいため、大きな定住村落はできず、1~2家族で一定の場所に短期間とどまりながら移動していた。松の実がとれる時期には、比較的多くの家族がまとまって長期間とどまり、また冬には20~30家族がまとまって住んだが、集落は形成しなかった。自然に関する知識が豊富で、食物獲得能力に優れた者、たとえばウサギの集団猟のときには経験の深い者がリーダーになるが、一時的で、その力は弱く、狭い範囲にしか及ばない。親族関係は双系的である。しばしば二つの家族が結婚によって強く結ばれている。すなわち、互いに姉妹を交換したり、男が妻の死後、あるいは2番目の妻をめとる場合、最初の妻の姉妹が好まれ、また女の場合、再婚の相手や2番目の夫として、最初の夫の兄弟が好まれる傾向があり、さらに、そのような親の子供同士、つまり交差いとこ婚もよくみられた。
[板橋作美]