日本大百科全書(ニッポニカ) 「しりとり」の意味・わかりやすい解説
しりとり
しりとり / 尻取り
ことば遊びの一つ。2人以上が代わり合って、「やま」「まつ」「つる」などと、前のことばの終わりの音をとって、後のことばの初めに置きながら、ものの名を順々にいい続けてゆくもの。語尾に「ん」のつくもの、および先に一度いったものの名を、ふたたびいえない。ことばが出ないときには負けとして除外され、最後に残った者を勝ちとする。平安時代から、「文字ぐさり」という名で、尻取り式にことばを連ねて和歌をつくることが行われていた。「源氏文字ぐさり」や「都路(みやこじ)」などがよく知られている。江戸中期からは文字ぐさりが、火回し(火をつけた線香やこよりを文字ぐさりや尻取り遊びなどをしながら順に回す遊び)のような純粋な遊びとして行われている。「お正月は宝船、宝船には七福神、神功皇后(じんぐうこうごう)武(たけ)の内(うち)……」といったもの。さらに雑俳の流行につれて、尻取り付回しとして、口合いや地口の類もしきりに取り入れられた。幕末から明治にかけて、「牡丹(ぼたん)に唐獅子(からじし)竹に虎(とら)、虎を踏まえる和藤内(わとうない)、内藤様はさがり藤……」など新しい尻取り文句がもてはやされた。
[丸山久子]