親水性の羊毛繊維からなる毛織物にアイロンで付けた折目は,雨にぬれたりすると簡単に消えてしまう。この欠点を除くために,オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)が発明した化学的な折目のセット法をシロセット加工という。チオグリコール酸アンモニウム水溶液を噴霧したズボンにホフマンプレスで折目を付けたり,プリーツ型紙とともに折りたたんだスカートをオートクレーブ中で蒸気処理することにより,耐久性のよいすじが固定される。毛髪に対するコールドパーマネントと同じ原理によるもので,羊毛のタンパク質であるケラチン中のシスチン架橋(-S-S-結合)が還元,切断される化学反応を応用している。羊毛工業では,工業用水中の鉄イオンによる発色を嫌い,現在では,チオグリコール酸アンモニウムの代りに,モノエタノールアミンの亜硫酸塩あるいは酸性亜硫酸塩を使っている。
執筆者:坂本 宗仙
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…スカート,ブラウス,ズボン,飾りレースなどに,雨などで簡単にとれることのないひだ(プリーツ)を付ける加工。熱可塑性の合成繊維はヒートセットにより耐洗濯性のあるパーマネントプリーツが得られる。毛織物の場合はアイロン掛けでつけたひだは耐久性がない。オーストラリアの連邦科学産業機構(CSIRO)で開発されたシロセットSiroset加工は,毛織物を還元性セット剤の存在下で蒸熱してひだを与える方法であり,羊毛のシスチン残基のジスルフィド架橋結合が還元により切断され,その状態でひだの形がセットされるものである。…
※「シロセット加工」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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