ジェンダー・ニュートラル(読み)じぇんだーにゅーとらる(英語表記)gender neutral

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ジェンダー・ニュートラル
じぇんだーにゅーとらる
gender neutral

男女性差のいずれにも偏らない考え方。もしくは、伝統的な性別による役割認識にとらわれない思考行動制度などを支持する考え方。英語の性別を意味するジェンダーgenderと、中立を意味するニュートラルneutralを組み合わせた表現である。

 このような性差に関する考え方は、世界中で古くからあるもので、日本においても1970年代から社会的な性差にとらわれない社会を目ざすジェンダーフリー運動が継続的に行われている。また、国連は1997年からジェンダー平等の取組みを推進しており、男性と女性を区別し、それぞれの扱い方を変えることは間違っていると訴え、世界的に広く浸透させた。さらに、国連は、女性と男性の権利責任地位を得る機会は、性差によって影響されるべきものではなく、人はだれも個人として扱われるべきとして、これをジェンダー主流化gender mainstreamingとよんでいる。

 こうした活動により、パスポートの性別の欄では「不確定indeterminate」、「第3の性third gender」の表記を認める国が増えたほか、性別を限定せずだれでも使えるトイレ(オールジェンダー・レストルーム)の登場、モード界では性差を超えたファッション注目を集めるなど、さまざまな変化を社会にもたらしている。

[編集部 2016年8月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵mini の解説

ジェンダーニュートラル

男性は男性らしく、女性は女性らしくという役割認識にとらわれない考え。20世紀末以降、先進国を中心に教育行政サービスなどの分野に反映されはじめている。スウェーデンでは1998年の教育法改正で、生徒の性別によって扱いを変えないことが教育機関に義務づけられた。イギリスや日本では性別にかかわらずズボンやスカートなどから好きな制服を選べる学校が現れた。性自認が定まらない人に配慮して、パスポートの性別欄に「第3の性」を示す欄を設けたり、性別を限定せずに誰でも使えるトイレを公共の場に設けたりする国や地域も増えてきている。

(2019-5-23)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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