ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジェンダー平等」の意味・わかりやすい解説
ジェンダー平等
ジェンダーびょうどう
gender equality
ジェンダーの不平等は雇用,教育の機会,医療面などさまざまな次元に現れ,そうした諸問題の存在については幅広い観点から解釈が加えられている。生物学的な還元主義や進化心理学などを含めた本質論的な議論もその一つであり,そこでは,社会における個人の経験は生まれながらの生物的,生理的,心理的な性差に基づく区別の反映であるとされる。また,ジェンダーの不平等についての文化的な解釈ではおおむね,不平等な役割が個々人の身に及ぶのは,すでに構築されている社会通念のせいであるとしている。
ジェンダー不平等に対処する試みのおもなものに,平等な待遇の付与を目指す政策的アプローチがある。たとえばジェンダー・メインストリーミング(ジェンダー主流化)の考えでは,組織的な政策の計画段階および実施段階において,ジェンダーの問題点を体系的に組み入れようとしている。職業上の不平等など,ある種のジェンダー不平等をめぐって大きな議論の的となるのが,背景条件を等しくするために,個人にどの程度の特例や独占的利益を認めるのかという点である。アメリカ合衆国のアファーマティブ・アクションのような特例を付与するための差別是正措置がとられることもあり,就労の機会を増やす具体的政策や,復職の権利を伴う有給家族休暇といった権利保護の実現が目指される。そのような取り組みにおいて重要視されるのは,手段や機会の均等よりも,結果の平等をもたらす可能性の高い条件の創出となる。
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