ジクロロエタン(読み)じくろろえたん(その他表記)dichloroethane

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジクロロエタン」の意味・わかりやすい解説

ジクロロエタン
じくろろえたん
dichloroethane

エタン塩素二置換体。1,2-ジクロロエタン(塩化エチレン二塩化エチレン)と1,1-ジクロロエタン塩化エチリデン)の2種の異性体がある。前者EDCと略記されることがある化合物で、芳香ある無色液体。塩化鉄(Ⅲ)を触媒とし液相または気相でエチレンと塩素とを反応させることにより工業的に製造する。水にはわずかにしか溶けないが、エタノールエーテルには溶ける。熱分解すると脱塩化水素がおこりクロロエチレン塩化ビニル)を生成するが、これは塩化ビニル製造工程として重要である。エチレンジアミンその他の原料、溶剤として用いられることもある。しかし1,2-ジクロロエタンの排水基準値は0.04mg/lと非常に厳しく、取扱いに注意を要する。1,1-ジクロロエタンの用途は多くない。

[谷利陸平]


ジクロロエタン(データノート)
じくろろえたんでーたのーと

ジクロロエタン
  (C2H4Cl2, 分子量 99.0)

1,1-ジクロロエタン
  CH3CHCl2
 融点  -96.7℃
 沸点  57.3℃
 比重  1.1743(測定温度20℃)
 屈折率 (n) 1.4166

1,2-ジクロロエタン
  ClCH2CH2Cl
 融点  -35.3℃
 沸点  83.38℃
 比重  1.2529(測定温度20℃)
 屈折率 (n) 1.4447

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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