日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジブラの法則」の意味・わかりやすい解説
ジブラの法則
じぶらのほうそく
Gibrat's law
所得分布に関する法則の一つで、1931年にフランスの統計学者R・ジブラによって提示されたもの。先に提示されていたパレートの法則およびジニの法則においては、低所得層の現実の所得分布状況を十分によく表現できないため、その欠点を修正することを意図して、所得yとその所得をもつ人員の相対度数(比率)fとの間の関係は、対数正規分布
で示されることを主張した。この式でμ、σ2は、それぞれ所得yの対数値に関する平均および分散であり、所得y自体の分布型は、低所得のほうに偏りをもったものとなる。この関係式を、 のように横軸に所得yの対数値を目盛りとしてとり、縦軸に所得y以下の人員の累積相対度数をとって半対数確率方眼紙上にグラフを描くと、直線となる。したがって、現実の所得と累積人員相対度数との関係がその方眼紙上でほぼ直線的な関係にあることが認められるならば、その所得分布はジブラの法則に従っているとみることができる。ジブラの法則では、その意図のとおり、低所得層における現実の分布状況はよく把握できることとなったが、その反面、高所得層の所得分布の表現に難点が認められることが多い。
[高島 忠]