ローバー(読み)ろーばー(英語表記)Rover Group PLC

デジタル大辞泉 「ローバー」の意味・読み・例文・類語

ローバー(rover)

放浪者流浪者
ローバースカウト
惑星衛星などで使われる探査車。アポロ計画で初めて有人月面探査車(ルナローバー・ムーンローバー)が使われた。火星ではマーズパスファインダーマーズエクスプロレーションローバーマーズサイエンスラボラトリーなどの探査計画において、地球から遠隔操作する、カメラや各種調査機器を搭載した火星探査車マーズローバー)が活躍した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローバー」の意味・わかりやすい解説

ローバー
ろーばー
Rover Group PLC

イギリスの大手自動車メーカーであったが、1994年、ドイツのBMWに統合された。さらに2000年3月には「ランドローバー」部門がアメリカのフォードFord Motor Co.に売却され、同年5月には、イギリスの投資グループ、フェニックスコンソーシアムPhoenix Consortiumへの乗用車部門の売却が決まった。前身は、1968年に創設されたブリティッシュ・レイランド・モーター社British Leyland Motor Corporation Ltd.(略称BLMC)である。BLMCは1978年に改称してブリティッシュ・レイランド社British Leyland PLCとなった。

 BLMCは、1968年、イギリス自動車業界の大手ブリティッシュ・モーター・ホールディングス社(BMH)とトラック・メーカーのレイランド・モーター社の合併設立された。BMHは、それ以前にオースティン社、モリス社、ジャガー社という名門を買収していたが、他方、レイランド・モーターもスタンダード・トライアンフ社、ローバー社を傘下に収めていた。こうした相次ぐ買収によってBLMCが成立、政府機関のIRC(産業再編成公社)からは2500万ポンドの資金援助を受けた。

 国をあげての大型合併の背景には、アメリカ資本の自動車メーカーがイギリス国内市場の50%以上を占めていた事実がある。フォード、GM系のボクソール、それに遅れて進出したクライスラーである。これらアメリカ資本の巨大自動車メーカーに対抗するには大規模な経営合理化を進める必要があった。BLMCの最高責任者となったストークスDonald Stokes(1914―2008)は、アメリカ式経営を導入し徹底した経営革命を断行した。ところが1974年、合併以来初の赤字に転落した。この危機を打開するため翌1975年、政府(国家企業庁)が株式の95%を保有する形で国有化された。1978年、ブリティッシュ・レイランドに改称。その後も巨額の欠損が続くなか、イメージ一新のため、1986年、ローバーに社名を変更した。

 その後、イギリスの航空・防衛メーカーであるブリティッシュ・エアロスペースBritish Aerospace PLC(BAe)が同社の支配権を握り、日本の本田技研とも資本提携関係に入った。しかし状況は好転せず、1994年、ドイツの高級車メーカーであるBMWがローバー・グループを買収した。BAeが経営不振から主力の航空・防衛分野での資金獲得が急務になっていたことに加え、ローバーの債務保証をBMWが引き受けたことが背景にある。BMWにとっては、車種の幅を高級車中心から広げるねらいもあった。しかし、その後もローバーは毎日3億円以上の赤字が出るといわれる状態が続き、2000年3月、BMWはローバーの売却を決めた。「ローバー」「MG」部門は元ローバー社長ジョン・タワーズ率いる投資グループ、フェニックス・コンソーシアムと交渉を進めたが、同年5月、「象徴的金額」としてわずか10ポンド(約1700円)で売却契約を交わした。まもなく、大型レジャー用車「ランドローバー」部門は約30億ドルでフォードに売却され、小型車「ミニ」はBMWが保有した。

[上川孝夫]

その後の動き

フェニックス・コンソーシアムは買収した乗用車部門でMGローバーを設立。インドのタタ・モーターズと提携し、自動車の生産を続けたが、2005年にMGローバーを中国の南京汽車に売却した。なお、「ランドローバー」のブランドはタタ・モーターズが所有している。

[編集部]

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世界大百科事典(旧版)内のローバーの言及

【自転車】より

…彼はこのセーフティ型にフランス語でbicycletteと命名し,以後英語でもbicycleと呼ばれるようになった。85年J.スターリーのおいであるJ.K.スターリーによって,ローバーRover(放浪者)という愛称をもったセーフティ型自転車が製作された。この自転車は前・後輪の大きさが同一であり,後輪チェーン駆動方式やダイヤモンド形に近いフレームが採用されるなど,今日の自転車の原型となるものである。…

※「ローバー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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