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好酸球性肺炎 こうさんきゅうせいはいえん Eosinophilic Pneumonitis

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家庭医学館の解説

こうさんきゅうせいはいえん【好酸球性肺炎 Eosinophilic Pneumonitis】

[どんな病気か]
 肺の組織に白血球(はっけっきゅう)の一種の好酸球が多数入り込んで障害をおこし、特有の症状と胸部X線写真に異常な陰影を示す病気です。肺好酸球増多症(はいこうさんきゅうぞうたしょう)(PIE)症候群(しょうこうぐん)ともいわれています。原因や病状のちがいにより、単純性好酸球性肺炎、慢性好酸球性肺炎、急性好酸球性肺炎、ぜんそく性好酸球性肺炎、熱帯性好酸球性肺炎、結節(けっせつ)性動脈周囲炎(多発性動脈炎)、ウェゲナー(ウェジナー)肉芽腫(にくげしゅ)などに分類されます。
[原因]
 寄生虫、真菌(しんきん)(かび)、細菌、薬剤、化学物質アレルゲン(抗原(こうげん))などが原因となることが多く、これらに対するからだのアレルギー反応により発病すると考えられますが、原因不明なことも少なくありません。
 単純性好酸球性肺炎の多くは、寄生虫や薬剤が原因でおこります。
 慢性好酸球性肺炎は、薬剤、寄生虫、真菌、細菌が原因である場合もありますが、大半は原因が不明です。
 ぜんそく性好酸球性肺炎は、気管支ぜんそくのある患者さんにみられるもので、アスペルギルス(かび)が原因の大半を占めますが、カンジダなど、ほかのかびでもおこります。
 熱帯性好酸球性肺炎はミクロフィラリアという寄生虫感染によります。結節性動脈周囲炎、ウェゲナー肉芽腫、急性好酸球性肺炎の原因は不明です。
[症状]
 好酸球性肺炎に共通してみられる症状は、発熱、全身倦怠感(ぜんしんけんたいかん)(だるさ)、頭痛など全身症状と、せき、たん、息切れなどの呼吸器症状です。症状の現われ方は患者さんによってちがい、まったく症状のないものから、高熱、衰弱、呼吸不全をともなう重いものまでいろいろです。
 単純性好酸球性肺炎では、症状は軽く、症状がないか、あってもごく軽度のせき、発熱、だるさが一過性にみられる程度で、1か月以内に自然に治ります。
 慢性好酸球性肺炎は、中年女性に多く、せき、発熱、呼吸困難、体重の減少がおもな症状で、そのほかに、たん、だるさ、喘鳴(ぜんめい)(呼吸のたびにゼーゼーヒューヒューいう)、寝汗(ねあせ)などをともない、数か月間続きます。
 急性好酸球性肺炎は、発熱、せき、呼吸困難で始まり、急速に進行して急性呼吸不全となり、人工呼吸が必要になることがしばしばあります。
 ぜんそく性好酸球性肺炎は、ぜんそくのある人に好酸球性肺炎がともなったもので、せき、たん、発熱のほか、喘鳴など、ぜんそく症状がみられます。
 熱帯性好酸球性肺炎は、日本ではまれで、フィラリアの感染で高熱、ぜんそくのような呼吸困難がおこります。
 結節性動脈周囲炎、ウェゲナー肉芽腫では、肺だけでなく、他の臓器もおかされ、さまざまな症状を示します。結節性動脈周囲炎では発熱、体重の減少、貧血、出血斑(しゅっけつはん)、つかれやすさなどが生じます。ウェゲナー肉芽腫では、鼻づまり、鼻出血(びしゅっけつ)、たん、喀血(かっけつ)、発熱、体重減少などが生じます。
[検査と診断]
 単純性好酸球性肺炎では、胸部X線写真に、一過性の浸潤陰影(しんじゅんいんえい)がみられ、これはときに移動します。好酸球は軽度に増えます。
 慢性好酸球性肺炎では、胸部X線写真で、肺胞など肺の末梢部(まっしょうぶ)に濃厚な浸潤の陰影がみられます。血液やたんの中に、好酸球が中等度に増加します。
 急性好酸球性肺炎は、胸部X線写真では、肺の全体に広がる帯状や粒状の陰影、すりガラスのような陰影がみられることが多く、胸水(きょうすい)がたまることもあります。血液中の好酸球は、かならずしも増加しないので、気管支肺胞洗浄(きかんしはいほうせんじょう)や、肺の組織をとって顕微鏡で調べる肺生検(はいせいけん)によって、好酸球が増えていることを確かめます。
 ぜんそく性好酸球性肺炎は、胸部X線写真で、斑点(はんてん)状、ないし雲綿状の浸潤影、または無気肺(むきはい)(コラム無気肺」)を現わす陰影がみられます。血液中の好酸球も中等度に増えます。たんを調べると、アスペルギルスなどのかびが発見されたり、血液中にこれらのかびを抗原とする抗体が見つかります。
 熱帯性好酸球性肺炎は、胸部X線写真に、小さな斑点状ないし融合性の陰影がみられます。血液や白濁(はくだく)した尿から、ミクロフィラリアが見つかります。
 結節性動脈周囲炎、ウェゲナー肉芽腫でも、種々の程度で好酸球が肺の組織に浸潤し、浸潤や結節(浸潤のスポット)陰影がみられます。空洞(くうどう)ができているのがみられることもあります。
[治療]
 どんな好酸球性肺炎でも、炎症を抑えるステロイド副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン)薬が有効です。
 単純性好酸球性肺炎は、1か月以内に自然によくなるので、とくに治療の必要はありませんが、少量のステロイド薬で非常によくなります。再発はほとんどありません。
 慢性好酸球性肺炎は、ステロイド薬が非常によく効きます。中等度のステロイド薬を数か月使用しますが、中止すると、しばしば再燃します。
 急性好酸球性肺炎は、重くて、人工呼吸器を使用しなければならないことがしばしばですが、ステロイド薬の大量使用がよく効きます。しかし、治療が遅れると死亡することもあるので、早期診断、早期治療がたいせつです。再発はめったにありません。
 ぜんそく性好酸球性肺炎は、治療がむずかしく、ステロイド薬を長期間使用する必要があります。同時に抗真菌薬(こうしんきんやく)の内服や吸入を併用すると、ステロイド薬の効果が増強します。
 熱帯性好酸球性肺炎は、ミクロフィラリアに対する抗寄生虫剤が効きます。
 結節性動脈周囲炎、ウェゲナー肉芽腫には、ステロイド薬や免疫抑制薬を単独あるいは併用して使用しますが、長期間にわたり大量に使う必要があり、一般に予後はよくありません。

出典|小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

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