ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スキピオ・アフリカヌス」の意味・わかりやすい解説
スキピオ・アフリカヌス
Scipio Africanus, Publius Cornelius
[没]前184.3. カンパニア,リテルヌム
古代ローマの政治家,軍人,大スキピオとも呼ばれる。第2次ポエニ戦争のときの名将。若くして父を助けて軍才を発揮。しばしばユピテル神殿に詣でたので,神の加護があると人々から信じられ,また神の子とすら噂された。前 210年官職についていないにもかかわらず,民会からプロコンスルのインペリウム (命令権) を与えられ,ヒスパニアのローマ軍を指揮してカルタゴの根拠地カルタゴ・ノウァ (現カルタヘナ) を攻略,前 206年までにヒスパニア全土を手中に収めた。さらに元老院の反対を押し切り,北イタリアのハンニバルをしり目に直接アフリカに侵入し,カルタゴを攻略,前 202年ザマの戦いで救援に駆けつけたハンニバルを破って第2次ポエニ戦争を終結させ,アフリカヌスの別名を得た。前 199年戸口総監 (ケンソル ) に選出され,また元老院議員首席 (プリンケプス ) として国政を指導。親ギリシア政策を熱烈に支持したが,晩年カトー (大)に率いられた保守派の反撃を受け,カンパニアに引退。質素な田園生活を送り,失意のうちに病没した。
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