プロコンスル(読み)ぷろこんする(英語表記)Proconsul

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プロコンスル」の意味・わかりやすい解説

プロコンスル
ぷろこんする
Proconsul

化石類人猿の一族。1930年代以降、東アフリカのケニアウガンダの第三紀中新世の地層から頭骨や多数の歯、顎骨(がくこつ)片、四肢骨が出土しているが、これらはゴリラチンパンジー祖先とみなされた。当時、ロンドン動物園にコンスル領事)という名の人気者のチンパンジーがいたが、それにちなみ、プロコンスルという属名が与えられた。これらはアフリカヌスP. africanus、ニアンゼP. nyanzaeおよびマジョールP. majorの3種に分けられる。いずれも現生類人猿程度の大きさであったが、眼窩(がんか)上隆起は弱く、腕渡りも下手であったと考えられる。最近はドリオピテクスのなかに統合され、そのなかの亜属を形成するものと考えられている。

[香原志勢]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プロコンスル」の意味・わかりやすい解説

プロコンスル
proconsul

古代ローマの官職名。執政官 (コンスル ) がその任期を過ぎてのち,なお執政官としてその権能を行使することを許された者。既存の官職以外の官職を新設することを避けるため考案された。共和政末期には法務官 (プラエトル ) ,プロプラエトルと並んで属州を統治し,特に執政官職を経験していない私人も任命された。元首政 (プリンキパツス ) 期に入るや,元老院管轄属州の総督を意味するにいたった。アウグスツス (在位前 27~後 14) 以後皇帝はその権能の重要な部分としてこのプロコンスル職権を保持した。

プロコンスル
Proconsul

1933年以来 A.ホップウッド,L.リーキーらによって,ケニアのルージンガ島から発見された一群の化石類人猿。プロコンスル・アフリカヌス P. africanus,プロコンスル・ニアンザエ P. nyanzae,プロコンスル・マジョール P. majorの3種に分類されており,E.サイモンズらはドリオピテクス属の一亜属とする。総じてチンパンジーと似ており樹上生活をしていたらしい。口は前方へ突出するが犬歯はあまり大きくなく,眼窩上隆起も発達しない。時代は中新世前期から中期とされる。

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