改訂新版 世界大百科事典 「スジマダラメイガ」の意味・わかりやすい解説
スジマダラメイガ (条斑螟蛾)
Cadra cautella
鱗翅目メイガ科の昆虫。翅の開張1~1.5cm。前翅は灰色で黒鱗を散布し,中央より少し基部よりに灰白色の横線があり,後翅は白色,半透明,外縁部はやや暗色。幼虫は貯蔵穀物や乾燥食品の大害虫で,米,麦,豆のほか,これらの粉,そば粉,ぬか,タバコなどを食害するのでコナマダラメイガとも呼ばれる。英名はalmond moth,fig moth,date moth。外米に比較的多く発生するのは,砕米と粉が多いためである。幼虫で越冬し,年に3~4回発生する。幼虫は穀類を糸でつづり,その中で穀物の外皮をよく食べる。成虫は家屋内や倉庫内を飛び回り,わずかの隙間から食料のあるところに侵入する。灯火に集まる習性はない。ほとんど全世界に分布し,日本でも全国的に発生を見る。食料輸送とともに各地に移動するため小さな島にもいる。野外で見ることはほとんどないくらい人の生活に密着し,うまく適応してしまった屋内害虫である。
執筆者:井上 寛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報