日本大百科全書(ニッポニカ) 「スポーツくじ」の意味・わかりやすい解説
スポーツくじ
すぽーつくじ
sports lottery
サッカーやバスケットボールの指定試合の勝敗などを対象とするくじ。正式名称はスポーツ振興投票。イタリアのサッカーくじ「トトカルチョ」にちなみ、toto(トト)の愛称が一部のくじに使用される。スポーツ振興投票実施法(「スポーツ振興投票の実施等に関する法律」平成10年法律第63号)に基づき、2001年(平成13)に全国販売を始めた。くじの売上げの一部を、サッカーやバスケットボールだけでなく幅広いスポーツの振興財源にあてる公営ギャンブルである。監督官庁は文部科学省で、独立行政法人日本スポーツ振興センターが運営・販売している。
日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)の試合(J1リーグ、天皇杯など)のほか、サッカーのワールドカップやイギリスなど海外リーグの試合、ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ)の試合などが対象。複数や単一試合の勝敗、得点などのほか、優勝チームなどを当てるといったさまざまな種類があり、通年販売されている。購入者が予想する選択式の「toto」「mini(ミニ)toto」「totoGOAL(ゴール)2」「totoGOAL3」「WINNER(ウィナー)」と、コンピュータが試合結果等を無作為に選ぶ非予想系の「BIG(ビッグ)」「miniBIG」「BIG1000」「100円BIG」「MEGA(メガ)BIG」などがある。ただし、2022年(令和4)時点でバスケットボールの試合を対象としているものはWINNERのみである。くじ料金は1口100~300円で、賞金(非課税)はくじの種類などによって異なる。払戻金は売上金の50%までで、的中者がいない場合、賞金を持ち越すキャリーオーバー制度のある種類もある。賞金の最高額は7億20円(キャリーオーバー発生時は12億円)。発売は原則、試合の1週間前からで、直営店、金融機関、コンビニエンス・ストアのほか、インターネットを通じて公式サイト、ネット銀行、アプリ・ストアなどで購入可能。払い戻しは信用金庫、直営店のほか、登録口座への振込みもできる。19歳未満の購入は禁止で、購入時に身分照合が必要。身分照合を省ける会員制度「Clubtoto」がある。八百長を防ぐため、プロリーグの選手・監督らの購入も禁止。くじ導入時には、射幸心をあおり青少年の教育上好ましくないとの反対論が強く、国会での法案採択が二度延期された。事業は当初赤字だったが、「BIG」の発売開始による売上げ増や経費節減で、2007年度以降黒字化した。収益の3分の2をスポーツ団体や地方自治体へ助成し、世界トップ水準の選手育成だけでなく、ラグビー、カヌー、フェンシング、障害者スポーツなど幅広いスポーツの振興につながっている。
[矢野 武 2023年1月19日]