日本大百科全書(ニッポニカ) 「スポーツボランティア」の意味・わかりやすい解説
スポーツボランティア
すぽーつぼらんてぃあ
スポーツイベントなどの運営を支えるために専門的な能力や時間を提供し、奉仕活動をする人々、また、その活動。クラブや団体への協力、障害者スポーツ支援、スポーツイベントスタッフなどとしての活動が中心であるが、スポーツ選手や団体による競技指導や講習会などもスポーツボランティア活動の一種といえる。大規模な大会やイベントなどで、多くのスポーツボランティアを組織的にまとめる人を、スポーツボランティアリーダーとよぶ。
従来はスポーツをする人と観戦する人がスポーツ参加者と考えられてきたが、今日ではスポーツを支える人(スポーツボランティア)が継続的に携わることによって、スポーツが成り立つと考えられるようになっている。スポーツボランティアは長期的に競技種目を盛り上げ、選手や観客の増加を図るうえでも重要な存在であり、学校のクラブや地域のスポーツサークルなどで指導者やまとめ役となって、地域社会におけるスポーツ振興や健康づくりに貢献する人材としても期待されている。
スポーツボランティアの重要性が具体的に示されたのは、1997年(平成9)の保健体育審議会による答申「生涯にわたる心身の健康の保持増進のための今後の健康に関する教育及びスポーツの振興の在(あ)り方について」であった。ここで初めて、スポーツ政策において国民のスポーツへの多様なかかわりを促進するため、ボランティアの養成や組織化が提言された。翌1998年に開かれた冬季オリンピック・長野大会では、およそ3万6000人のボランティアスタッフが運営を支えた。また、地域イベントとして最大規模である東京マラソンにおいては、ボランティアスタッフは1万人(2014年)に上っている。地方自治体や障害者スポーツ団体ではスポーツボランティアを養成し、活用のための基盤をつくるため、スポーツボランティア人材バンクを設立する動きが広がっている。
[編集部]