日本大百科全書(ニッポニカ) 「スマートムーブ」の意味・わかりやすい解説
スマートムーブ
すまーとむーぶ
smart move
2014年(平成26)より環境省が実施している地球温暖化対策の一つ。日常生活においてマイカーを中心としている移動手段を見直し、CO2排出量の削減を目ざす取組みである。環境省は身近な生活における移動について見直すことで、環境への負荷を減らすと同時に、効率的な移動計画や、気軽な運動習慣を生活に取り入れることに役だつとして推奨している。
スマートムーブでは「移動をエコに」を合いことばにした、以下の五つの取組みを推進している。(1)公共交通機関の利用 電車やバスを利用した計画的な移動、駅までの徒歩移動による適度な運動習慣づくり。ハイブリッドバスやLRT、太陽光エネルギーなどを利用した車両の利用。(2)自転車や徒歩での移動 徒歩や自転車を積極的に活用することで、自動車の渋滞の緩和につながり、CO2削減や健康面でも効果的である。(3)自動車の利用方法のくふう ランニングコストが節約できるエコカーを利用し、運転時は急発進を避け、また「アイドリングストップ」などのエコドライブを心がける。(4)長距離移動のくふう 新幹線や特急電車を利用する。観光ツアーであっても、旅先で自転車や公共交通機関で移動のできるプランを選ぶ。飛行機の利用時は、排出されるCO2を別手段で埋め合わせるカーボンオフセットという考え方を生活に導入する。(5)移動・交通におけるCO2削減の取組みに参加 マイカーではなく、カーシェアリングやレンタカー、コミュニティー・サイクルなどの取組みに参加する。
このようなスマートムーブの考え方を基本とし、地域ごとにさまざまな取組みが行われている。一部の自治体では、環境への負荷を大幅に削減することができる、次世代型移動手段を活用した実証実験を進めている。
[編集部 2016年6月20日]