登録した複数の会員が自動車を共同利用するシステム、有料サービスのこと。車の所有・維持費用がかからないうえ、必要に応じて15分から30分といった短時間単位で、またレンタカーより低い料金で利用できることが多い。ヨーロッパで普及しており、消費者の節約志向が強まる日本でも2008年(平成20)以降、車の新たな利用形態としてカーシェアリングを提供する企業が増えている。カーシェアリングの普及は車の効率利用を促し、環境対策や渋滞解消にもつながるとみられている。
カーシェアリングは1980年代にヨーロッパで始まり、1990年代にアメリカ、カナダにも広がった。2006年時点で世界18か国600都市において運営されており、スイスでは全人口の1%程度が利用している。日本では1990年代末から本格的なサービスが始まり、東京、名古屋、京都、福岡などの都市部に広がっている。レンタカーと異なり、利用できるのは登録した会員のみだが、入会金と月々の利用料を払い、インターネットや電話で予約すれば、自由に車を利用できる。料金は企業によってまちまちだが、15分ごとに200~400円前後と、走行1キロメートルごとに20円程度(走行距離ごとの料金をとらない企業もある)であり、6時間単位で借りるレンタカー(通常料金は数千円程度)よりも短時間利用の場合は割安になるケースが多い。レンタカーのように1回ごとに手続をする必要がなく、ICカードや携帯電話でドアロックを解除して、無人のカーシェアリング拠点から乗るのが一般的である。料金はICカードなどの利用履歴に応じて、毎月精算され、返却時にガソリンを補充する必要もない。
交通エコロジー・モビリティ財団の調査では、2010年(平成22)1月時点で、全国に約30のカーシェアリング事業者があり、会員登録者数は全国で約1万6000人と、過去5年で10倍に増えた。レンタカー会社、駐車場会社、自動車ディーラー、総合商社などが相次いでカーシェアリング事業に参入している。
[編集部]
(平栗大地 朝日新聞記者 / 松村北斗 朝日新聞記者 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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