改訂新版 世界大百科事典 「セイヨウカリン」の意味・わかりやすい解説
セイヨウカリン
Mespilus germanica L.
庭木あるいは果樹として利用するバラ科の落葉小高木。メドラmedlarともいう。南ヨーロッパから西南アジアに分布し,ヨーロッパにかなり広く栽培されている。日本へは明治初期にアメリカから導入されたが,一般に栽培されるには至らなかった。現在では庭木として利用されているにすぎない。高さ6m前後となる。花は白色または淡紅色で径4cmほど。新梢の先端に1個つく。おしべは多く,花柱は5本。果実は秋に熟し,扁円形または洋梨形で,径3~5cm前後。成熟果は褐色でその先端部に葉状の萼片をつけている。果実は果肉が硬く渋みが強いので生食に適さないが,ジャムやゼリーの原料に利用する。欧米ではセイヨウナシの台木に利用される。
執筆者:志村 勲
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報