改訂新版 世界大百科事典 「セズネック」の意味・わかりやすい解説
セズネック
Jean Seznec
生没年:1905-83
フランスのブルターニュ地方に生まれ,主としてイギリスで活動した文学と美術史の研究者。1928年パリの高等師範学校卒業後,ローマ,フィレンツェ滞在を経て,ケンブリッジ大学,ハーバード大学,オックスフォード大学で教鞭を執り,72年以降オックスフォード大学名誉教授。代表的著作となった博士論文《異教の神々の系譜(神々は死なず)》(1940)においては,ギリシア・ローマの神々が中世の美術や著述の中に姿を変えて残存し,イタリア・ルネサンス期に,古典古代に彼らが有していた姿と意味とを再び結合しつつ復活した,とする説を展開した。これにより,古代と中世,中世とルネサンスの断絶を強調する従来の学説に対し新境地を開き,それとともに文学と美術史を総合する試みを行った。そのほかディドロに関する諸研究が重要。
執筆者:鈴木 杜幾子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報