セント・ポール(読み)せんとぽーる(英語表記)Saint Paul

翻訳|Saint Paul

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セント・ポール」の意味・わかりやすい解説

セント・ポール
せんとぽーる
Saint Paul

アメリカ合衆国、ミネソタ州東部にある同州の州都ミシシッピ川を見下ろす断崖(だんがい)に位置する。人口28万7151(2000)。隣接するミネアポリスと双子都市を形成し、この都市圏に州人口のほぼ60%が集中する。州の行政、商工業、文化の心臓部であり、輸入港、および鉄道を中心とした交通の要衝でもある。豊かな天然資源と広い後背地に恵まれているため工業が発達し、コンピュータ、自動車、機械、電気製品、食品などの製造が盛んで、印刷、出版、食肉出荷業も重要な産業となっている。18世紀後半ごろから白人による開拓が始まったが、本格的な定住は1838年からで、49年に準州の州都になり、ミネソタが独立州に加わった58年からも引き続き州都の地位を確保してきた。当初はピッグズ・アイとよばれていたが、1841年に丸太造りの礼拝堂が建設され、聖パウロに献納されたことから現地名となった。1860年ごろからの鉄道の開通に伴って、東部からドイツ系、アイルランド系移民が定住し、同市の基礎づくりに大きな役割を果たした。市周辺は、湖や海水浴場スキー場などのレクリエーション施設が多く、全米最大といわれるセント・パトリックの日のパレードは人気がある。世界最大の大理石ドームをもつ州議事堂はバチカンサン・ピエトロ大聖堂モデルにしたもので、同市のシンボルとなっている。1955年(昭和30)長崎市と姉妹都市提携を結んだ(日本の都市としては最初のもの)。

[作野和世]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セント・ポール」の意味・わかりやすい解説

セントポール
Saint Paul

アメリカ合衆国,ミネソタ州の州都。ミシシッピ川北岸,シカゴ北西約 560kmに位置し,西隣のミネアポリスとは双子都市を形成。 19世紀初期入植。 1848年ミネソタ領の首府となり,58年ミネソタ州の成立とともにその州都になる。早くから印刷,製本業が盛んであったが,ミシシッピ川の可航北限地点に位置することに加えて,83年ノーザン・パシフィック鉄道,93年グレート・ノーザン鉄道の開通に伴い,商業中心地 (大家畜市場) ,交通の要衝として発展。現在はそのほかに自動車部品,電子通信機器の製造が行われ,製油,製鋼,化学工場がある。空港をはじめ,セントキャサリン大学 (1905創立) ,セントポール大聖堂,コモ公園,インディアンマウンズ公園などの公共施設がある。周辺にはスキー場も多い。人口 28万5068(2010)。

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