河川交通(読み)かせんこうつう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

河川交通
かせんこうつう

可航河川上で行われる交通をいい,運河交通と並んで,内陸水路交通の重要な一環を形成する。船舶の河川利用は,内陸部において大量の貨物を低廉に輸送する最も効果的な手段として古代から行われていたが,産業革命を契機として一連の近代化整備が進み,その利用度は高まった。現代の河川交通の主体ははしけによる輸送で,石炭,石油,各種鉱石,穀物などの重量ばら積み貨物が大きな比重を占める。アメリカのミシシッピ川,オハイオ川,ヨーロッパのライン川,ボルガ川は,はしけ輸送の幹線交通路として有名。日本の河川交通は,近世における米輸送の重要な手段であったが,急流が多いうえに流量が少いため輸送単位が小さく,明治以降も河川の設備改善がほとんど行われないまま,鉄道の普及により急速に衰えた。

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百科事典マイペディアの解説

河川交通【かせんこうつう】

中国では古代,黄河や長江のような大河川を主要交通路として利用し,〈駅伝制〉で船と丁(水夫)を配置した水駅を設けていた。古代日本の主要交通路は陸路と海運で,河川では最上(もがみ)川に水駅がおかれていた。ほかに淀(よど)川水系,大和(やまと)川水運が利用され,与等(淀)・泉木津(木津)・宇治などの〈津〉が知られる。中世,淀川水系の利用は活発で,関銭をとる目的で室町時代に淀川に660の関が設けられていた。江戸時代,諸藩が年貢米の領内輸送,江戸・大坂へ廻送のため新たに河川水運路を開発,河岸を創設するなど整備し河川交通が本格化。旅客運送にも盛んに利用され旅人専用の乗り合い船も生まれた。しかし近代,鉄道の発達により急速に衰退。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

河川交通
かせんこうつう

川を利用して行われる船による交通。沿岸や外海を利用する海運に対比して水運といい、外航船が通るには川幅70メートル以上、水深12メートル以上、川舟の場合でも水深2メートル以上が理想で、平野を流れる長い川ほど利用価値が大きい。河川用の小型貨物船を機帆船(発動機付き)または艀(はしけ)bargeとよんでいる。
 鉄道や自動車が発達するまでは内陸地方の交通機関として重要な役割を果たしてきた。鉄道が発達してからは重要性が低下したとはいえ、ヨーロッパやアメリカにおいては、石炭、油、木材、食糧などのような、かならずしも急送を要しないで運賃の安いことを必要とする大量貨物が河川交通を利用している。ヨーロッパのライン、ドナウ、エルベ、ローヌ川などは運河でつながり、河川交通の代表例である。1925年に開通したボルガ・ドン運河はバルト海と黒海を連絡したもので、近年における河川交通の重要性を立証している。
 日本においては、昔から琵琶(びわ)湖と淀(よど)川、江戸時代に入ってからは江戸を中心とし利根(とね)川、荒川などが河川交通路として重要な役割を果たした。たとえば、大坂の町のなかの上荷船・茶船、あるいは川越(埼玉県)を夜出発し、翌朝江戸に着く「川越夜舟」などは繁盛した。しかし、地形的な条件から、鉄道の発達とともに河川交通は全般的に衰退した。東京や大阪のような大都会にある問屋、中小の町工場などへ送り込まれる物資は、本船で大阪港、横浜港、東京港に着いて、ここで機帆船や艀に積み換え、河川を通じて搬入されるが、近年は自動車の発達により衰退してきた。[大島藤太郎]

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世界大百科事典内の河川交通の言及

【水運】より

…ここでいう水運は,海上交通すなわち海運と河川交通すなわち内陸水運をあわせ含んだ水上交通を指す。水運の歴史は古く世界の各地域によりその様相を異にする。…

※「河川交通」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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